妊娠と出産

「熱性けいれん」をおこしたら?韓国語でなんて言うの?知っておきたい対処法

2年前、まだ1歳になったばかりの長男が「突発性発疹」にかかりました。生後6~12ヶ月の赤ちゃんに多く、2歳までにはほとんどの子(90%以上)がかかります。産まれて初めての発熱がだいたいこの病気だといわれているほどなので、珍しいものではありません。

 

突発にかかると39度以上の高い熱が3~4日間続きます。赤ちゃんの脳はまだまだ未熟なので、高熱のストレスにより「熱性けいれん」を起こす場合もあります。

 

韓国語で「熱性けいれん」は열설경련/ヨルソンギョンリョンといいます。

 

わが家の長男はそのうちのひとりで、突発の高熱で、けいれん(ひきつけ)を起こしてしまいました。

 

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当時のわたしは「熱性けいれん」の『け』の字も知らない、本当に無知の駄目ママだったので(今思い出しても情けない…)、息子の異常な姿を目のあたりにして、頭が真っ白になってしまい、必死に119を押したのを覚えています。

 

いまでも、わが子のあの時の姿を思い出すと怖くなります。「死んじゃう!どうしよう!やだ!やだっ!!」って本気で慌てました。

 

韓国に来てまだ1年、韓国語もまだ片言でしか話せなかった当時のわたし、今までの人生で一番パニックしていた状態で、救急車を無事に家へ呼べたのは奇跡だったと思います。

 

日本語だったら詳しく説明できるのに、と何度思ったか。韓国で出会った日本人の友人のひとりに、小さい頃に熱性けいれんを何度もしてた息子さんを持つ方がいて、韓国語がまだあやふやだったその頃のわたしは、彼女にいろいろと教えてもらい、助けてもらい、どれだけ心強かったかわかりません。

 

知識としてだけでも知っているのと知らないのでは、実際に自分の身に起こったときの心構えと対処に影響されるはずです。わたしの経験もきっと、他のだれかの役に立つんじゃないかと思うので、韓国で『熱性けいれん』をおこしたときの様子、そしてその対処法を実際の体験をもとにまとめます。

 

「熱性けいれん」の兆候は、頻繁に起きるビクつきだった

うちの長男は、これ以前にも熱を出した事があったのですが、そのときも寝ている時に何度かビクビクっとしていたんです。

 

この日は、朝からずーっと微熱の状態が続いていたのに、夕方に一気に39度を越えたので、慌てて小児科にかけこみました。医者は、「突発だと思うけど、熱が下がりきって発疹が出てくるまでなんとも言えない。薬は解熱剤を飲ませて様子を見るしかない。」と言って、解熱剤だけ受け取って帰ってきました。

 

夜、解熱剤を飲ませてから寝かしつけたんですが、ベッドに横になっていた長男がいきなりビクッ!と体をビクつかせました。なにかに驚いたときに一瞬ビクってなりますよね、あのビクつきと似ているかもしれません。「けいれん」のときのようなガクガクと継続した動きではなく、不定期に起こる短いビクつきです。

 

高熱が出たときに体をビクつかせる反応は、小さな子どもにはよくみられるそうで、「熱性けいれん」じゃない限り、家で様子を見て大丈夫らしいです。

 

無意識に体がビクついているので、自分でもビックリするのか、驚いて泣き出す息子。ウトウトと眠りにつくと、ビクついて泣き…を何度か繰り返しました。

 

そしてこのあと、息子の様子が一変するのです。

 

「けいれん」を起こしたときの状況

やっと眠りについても、体がビクつくため、そのたびに驚いて起きてしまう息子。このときすでに夜中の3時近く。中々寝つけない息子がかわいそうでなりませんでした。

 

その様子を見かねて、抱っこで寝かしつけてあげようと、抱っこをしながら歌を歌ってあげていたときです。

 

息子がいきなり首を伸ばして、顔を上のほうにゆっくりと上げはじめたのです。どうしたんだろうと、息子の顔を見るとなんだか様子がおかしい、と暗い中でもすぐにわかりました。その直後でした。目がグルっと上に回り、白目に。そして手足に力が入ったと思ったら、ガタガタ、ブルブルと震えはじめました

 

「死んじゃう!」

 

わたしは大声で息子の名前を叫びながら背中を叩きました(*後から知りましたが、本当はやってはいけません。みなさんはやらないようにしてください)。片手に息子を抱いたまま、息子の名前を叫びながら、震えるもう片方の手で119に電話をかけました。

 

この日、すでに夜中の3時になっていましたが、なんとタイミングの悪いことに、夫は年に何回かしかない会社の飲み会があり、家にまだ帰ってきていませんでした。

 

119へ電話をかけるも、受け答えは韓国語。「子どもが目を白目にして、痙攣を起こした」と韓国語で何て言っていいのかも分からず、たしか、「子どもが…目が白くなって…Shaking(シェイキング)」と英語を混ぜてたどたどしい韓国語で伝えました。

 

なんとか理解してくれたらしく、今度はどう対処すればいいのかの説明。幸い、わたしは聞き取りは大部できていたので、指示されたとおりに対処できました。このとき、けいれんはもう落ち着いていました。次にうちの住所を聞かれ、うちの近くに消防署があることもあり、すぐに救急車が到着。

 

救急車が到着した時、息子は直前まで痙攣していたのなんて嘘のように、ばったりと寝ていました

 

韓国語

 

子どもがいきなり目を白目にして、けいれんを起こしています。

아기가 갑자기 눈이 뒤집혀지면서 경련을 하고있어요.

アイガ カチャギ ヌニ ディジビョジミョンソ ギョンリョンル ハゴイッソヨ.

*韓国では「目が回転した(뒤집히다)」ということが多いです。

 

 

子どもが「けいれん」を起こしたとき、親がするべきこと

わが子が白目をむいて、手足をバタバタさせて震えてる…そんな状況、想像するだけでも恐ろしいですよね。実際に、ものすごいパニックになり、頭の中は真っ白になります。

 

でも、救急車が来るまで、病院に着くまで、痙攣を起こしている最中は、その場にいるあなたにしか応急処置はできません。どうすればいいのか頭に入れておくだけで、パニックに陥っていても、なんとか対処できるもの、だって大事なわが子を守るためですから、体が勝手に動きます。

 

実際に救急車を呼んだときに電話で指示された対処法です。日本とほぼ同じですが、韓国では熱が高いときや、けいれんを起こしたとき、服を全部脱がせるように言われます。最初はビックリするかもしれないので、知っておくといいかも。

けいれんが起きたらするべきこと
  1. 横に寝かせる(大声で名前を呼んだり、揺さぶったりしない。刺激を与えないため)
  2. 服を脱がせる(高熱のため)*日本では首もとを緩めるくらいで、脱がせたりはしないみたいです。
  3. 首を横にかたむける(吐いた場合に喉に詰まらないように)
  4. けいれんしている時間をはかる(けいれんし始めてから止まるまで)
  5. けいれんの様子を観察する(手足は左右対称にけいれんしているか、目の様子)

 

韓国語でも書いておきますね。

 

韓国語

 

1.子どもを横にしてください

아이를 눕혀주세요/アイル ヌピョジュセヨ

 

2.服を脱がせて、楽な姿勢にさせてあげてください

옷을 벗기고 편안한 자세로 만들어주세요/オスル ボッキゴ ピョナン ジャセロ マンドゥロジュセヨ

 

3.首を横にかたむけてください

고개를 옆으로 둘려주세요/ゴゲル アプロ ドルリョジュセヨ

 

4.けいれんが何分続いたか見ていてください

경련 시간이 몇분 지속 했는지 봐주세요/ギョンリョン シガニ ミョッブン ジソク ヘヘッヌンジ バジュセヨ

 

5.手足の様子を観察してください

손발의 모습을 치겨봐주세요/ソンバレ モスブル チキョバジュセヨ

韓国の病院の対応

救急車で運ばれた後は、熱が39度以上あったので、すぐ解熱剤の注射と点滴を打たれました。

 

ちょうどこの時、夫が病院へ到着。入れ違いに家へ帰ってきたらしく、救急車を降りてすぐ、夫から電話がかかってきました。息子を助けなきゃ、その一心で、それまで夫への電話すらする余裕がありませんでした。

 

そして、熱が高いので、解熱剤で熱が下がるまで、オムツも脱がせ真っ裸の状態にして、ぬるま湯でぬらしたタオルで体を拭き、熱を下げさせました물마사지/ムルマッサージ(水マッサージ)といって、韓国では子どもが熱を出すと、解熱剤が効くまで、または解熱剤でも下がらない場合には、この方法で熱を下げます

 

 

そして、家族や親戚で小さい頃、熱性けいれんをしたことがある人がいるかどうか聞かれました。実は夫が経験者だったそうで、遺伝性のけいれんなら、それほど心配要らない、と。そこで初めて、お医者さんから息子のけいれんは「熱性けいれん」だと言われました。熱性けいれんって遺伝するものなんですね

 

息子は突発の可能性が高かったけど、発疹が少し出てきているのに熱が下がらないでいたので、またけいれんを起こすかもしれないし、念のため、入院することとなりました。

 

子どもの病気の知識はとても大事

熱性けいれん、かかる子の方が圧倒的に少なですよね。まさかうちの子に限って、と思ってなにも知らないでいると、いざとなったときにあたふたと何も対応できません。

 

わたしは何の知識も無かったので、「なんで今まで子どもの病気に無関心だったんだろう」、「もしこうしていたら、けいれんなんてしないで済んだのかな」と、あとあとものすごく後悔しました。(息子の場合は、遺伝性だったので、けいれんは遅かれ早かれきっとしていたとは思うのですが。)

 

知識があっても、わが子のあんな姿を見たら親なら誰だって焦りますが、やっぱり対処法が一通り頭に入っているのといないのとでは、天と地の差だと思います。ましてや韓国、言葉も上手く通じないし、病気関係の難しい言葉はよく分からないから、一層。

 

どうか少しでも役に立てますように。